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決算書を作成するにあたり、損益計算書を用意する必要があります。
損益計算書には「特別利益」と「特別損失」という項目があり、経常利益に特別利益を足し、そこから特別損失を引くことで、税引前当規純利益を算出することが可能です。
また、経常利益や当期純利益を求めるためには、「営業外収益」と「営業外費用」を算出しなくてはなりません。
営業外収益と営業外費用それぞれの計算方法は異なります。しかし、それぞれの概要や計算方法が分からず、悩んでいる方も多いでしょう。また、言葉の意味が分からず、具体的にどのようにすれば良いか分からないといった方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、特別利益・特別損失と営業外収益・営業外費用の概要と、具体例について紹介します。また、営業損失と営業外損益を区別する理由についても解説するため、決算書の作成を控えている方や、損益計算書で必要となる計算について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1.特別利益と特別損失について
冒頭で説明したように、損益計算書では、経常利益から臨時的・突発的な特別損益を差し引いて、税引前当期純利益を算出します。
普段の営業活動では発生しない収益や費用を「特別利益」「特別損失」と言い、通常の営業活動や営業外の活動で発生する収益や費用とは区別されます。
税引前当期純利益は、経常利益から特別損益を加算することで算出することができます。また、当期の所得にかかる法人税等を控除することで、当期純利益を算出することが可能です。
会社の経常的な活動による業績を経常損益として損益計算書に表示させることで、決算書を見る人の判断を誤らせないようにすることが目的です。
ただし、何らかの活動から生じる損益で、営業活動とまったく無関係ということではありません。また、期間損益計算を正確に算出するために、やたらめったら勘定科目を増やしても、かえって損益計算書を読み取りとりにくくします。
したがって、特別損益に含める科目はできるだけ少なくし、少額のものは営業外損益に入れてしまったほうが良いでしょう。
1-1.特別利益・特別損失の具体例
特別利益の具体例には次のようなものがあります。
- ・前期損益修正益
- ・貸倒引当金戻入益
- ・固定資産売却益
- ・投資有価証券売却益
また、特別損失の具体例には次のようなものがあります。
- ・前期損益修正損
- ・固定資産売却損
- ・投資有価証券売却損
- ・投資有価証券評価損
- ・役員退職金
- ・災害損失
2.営業外収益と営業外費用について
損益計算書では、経常利益は、本業で稼いだ営業利益から営業外損益(営業外収益と営業外費用)を差し引くことで算出することができます。
営業収益と営業外収益の区別は、企業会計原則では、企業の営業活動から発生したかどうかによって分類されます。
営業活動から得た収益を営業収益、営業活動以外から得た収益を営業外収益と言います。
何をもって会社の営業活動かというと、会社を設立したときに定める「定款の目的」に含まれているかどうかで判断します。定款の目的に記載があるものの収益があるものは営業収益、そうでないものが営業外収益です。
したがって、業種によって営業外損益かどうかの判断も変わります。
たとえば、商工業だと商品や製品の販売、サービス業だとサービスの提供、金融業だと利子収入、不動産賃貸業だと不動産賃貸収入が主な収益源となり、それら以外の収益が営業外損益ということとなります。
2-1.営業外収益・営業外費用の具体例
営業外収益の具体例には、次のようなものがあります。
- ・受取利息
- ・受取配当金
- ・有価証券利息
- ・有価証券売却益(売買目的)
- ・有価証券評価益
- ・不動産賃貸料
- ・仕入割引
- ・為替差益
- ・雑収入
また、営業外費用の具体例には次のようなものがあります。
- ・受取利息
- ・受取配当金
- ・有価証券利息
- ・有価証券売却益(売買目的)
- ・有価証券評価益
- ・不動産賃貸料
- ・仕入割引
- ・為替差益
- ・雑収入
3.営業損失と営業外損益を区別する理由
収益には、本業で稼ぐ経常的なものから、臨時的・突発的に発生するものまであります。本業以外の収益を営業収益に含めてしまうと、会社の実態が正しく把握できないといったリスクがあるため、営業収益と営業外収益は分けられています。
営業費用と営業外費用の区分も営業損益と同じ考え方で、営業活動から発生した費用かどうかによって区別されます。
したがって、一般的な会社では、営業外費用になる支払利息割引料でも、預金や貸付を主業とする金融機関ではそれが営業費用となります。
まとめ
損益計算書を作成する際には、特別利益と特別損失を記載する必要があります。
しかし、特別利益と特別損失を計算するためには、営業外収益と営業外費用を算出しなくてはなりません。
正確な計算をするには、それぞれの概要を把握しておくことが重要です。それぞれの違いを明確に把握することによって、数字を間違うことなく損益計算書を作成することができます。
また、収益の種類も、本業で稼ぐ経常的なものから、臨時的・突発的に発生するものまでさまざまです。
どれだけの利益を上げたのか、どのくらいのコストがかかったかを正しく出すだめにも、今回の記事を参考に、損益計算書に必要となる項目の概要を理解しましょう。
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