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減価償却は、税法で定められた固定資産の耐用年数に応じて、事業年度ごとに計画的かつ規則的に、その取得価額を費用配分する会計処理です。
減価償却費は、各期間に計上する固定資産の減価償却にかかる費用を処理するときに使います。
経理実務は、会計と税法の間に違いはあまりなく、実務においては税法の取扱いに従っていることが一般的です。
固定資産の中で、減価償却をおこなうものを減価償却資産(償却資産)といい、具体的には建物や車両運搬具、工具器具備品などがあります。
一方、減価償却をおこなわないものを非減価償却資産といい、具体的には土地や借地権、建設仮勘定があります。
1.減価償却資産とは
減価償却資産は、3つに分類できて、
- ①使用可能期間が1年未満のもの
- ②取得価額10万円未満の少額減価償却資産
- ③それら以外の減価償却資産
に分類できます。
ここでの少額減価償却資産については、税法上、事業に使い始めた年度に費用計上することとなっています。
2.会計と税法の取り扱い
会計上、減価償却の手続きは、長期間使用可能で、使用や時間の経過により価値が減少する減価償却資産に対して、価値の減少額を算出し、費用収益対応の原則に則って費用として計上しつつ、減価償却資産の価値を減少させていくものです。
税法上、費用の認識基準は債務確定主義が適用されるのが原則ですので、本来、固定資産の取得価額を損金算入する時期は、固定資産の除却時点ということになります。
しかし、高額な建物や機械などの使用可能期間が長期のものを、一事業年度で全額費用に計上することは、費用収益対応の原則の考え方には合いません。
こういったことから税法上では、固定資産は、債務確定主義の例外として会計上の発生主義の考え方を採用し、耐用年数に応じて、事業年度ごとに取得価額を配分して、減価償却費とするよう、税法で明文の規定によって認められています。
3.決算時に計上する
通常、減価償却費は、決算のときに固定資産の減価償却費を算出して、費用計上します。
そして、税法上、減価償却費を損金算入するには、減価償却費として損金処理する必要があります。
減価償却費の計算では、取得価額、耐用年数、減価償却方法が必要となります。
ただし、会社の恣意的な経理による利益操作や租税回避行為を防止するため、耐用年数と減価償却方法を税法では細かく定めています。
耐用年数は、税法上の法定耐用年数が用いられることがほとんどです。
4.任意償却と償却限度額
法人の減価償却は、任意償却制度が採用されていますので、赤字決算となりそうでどうしても黒字決算にしたいときなんかは、減価償却費を計上しないという選択ができます。
一方、個人事業主では、所得税法上、減価償却に関して強制償却が採用されています。
減価償却費の計上は、本来、企業の任意で決められるものですが、法人税法上、償却限度額がありますので、無制限に損金算入はできません。
つまり、償却限度額までの金額が費用となり、限度額超となる減価償却をおこなっても費用とはなりません。
こういったことから、減価償却費は、原則、税制に即して計算されて、償却限度額と同額の減価償却費を計上することになります。
なお、償却限度額を超えて損金経理したとしても、その超過額分は、法人税の確定申告において調整されることになります。
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