通常、減価償却資産は、取得価額10万円未満のものなら、その全額を取得時の請求書や領収書にもとづいて記帳・経理されて損金算入できます。
よくあるものとしては、パソコン、コピー機、応接セットなどが挙げられます。
取得価額10万円以上のものは、税法の法定耐用年数に応じて減価償却し、減価償却費として損金経理していくことになります。
しかしながら、青色申告の承認を受けている中小企業であれば、「少額減価償却資産の損金算入の特例」を利用して、取得価額10万円以上から30万円未満のものについては、即時償却できて損金算入できるようになります。
この特例を利用するには、次の要件を満たす必要があります。
- ・資本金1億円以下の中小企業である
- ・青色申告の承認を受けている
- ・減価償却資産の取得価額に相当する金額を損金経理する
- ・別表十六(七)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書の添付
通常の償却と特例を使った償却を比較すると次のようになります。
20万円のパソコンを購入したとき
- ・通常 → 4年間で減価償却(20万円を4年かけて経費にする)
- ・特例 → 購入した事業年度で即時償却(20万円が1年で経費になる)
思った以上に儲かって利益が出そうで節税対策を検討している場合、この特例を利用して、古くなった減価償却資産の更新をおこなえば、ある程度の利益を圧縮することができ、法人税の節税になります。
ただし、この特例を利用した減価償却費には300万円という上限がありますので、その点には注意してください。
少額減価償却資産についての取得価額、償却方法、損金算入の取扱いに関してですが、現在、平成18年4月1日から平成28年3月31日までの間に取得した減価償却資産に対して、この特例を適用させることができます。
ちなみに強制的に特例を適用させるというものではありません。
もちろん、通常の個別償却や一括償却を選択することができます。
また、特例で減価償却費として損金経理できる上限は300万円までとなっていることには気をつけましょう。
取得価額
通常 |
中小企業特例 |
10万円未満 |
20万円未満 |
30万円未満 |
損金算入
限度額