消費税額の計算方法は2通りあって、原則課税と簡易課税という方法があります。
原則課税では、課税売上にかかる消費税(預かった消費税)から課税仕入にかかる消費税(支払った消費税)を差し引くことによって、消費税額を算出しますが、簡易課税では支払った消費税を計算せずに消費税額を算出することができます。
通常(原則課税)では次のように計算します。
・納付税額 = 課税売上にかかる消費税額 - 課税仕入にかかる消費税額
簡易課税での計算では、実際の「課税仕入にかかる消費税」を算出せず、課税売上高から仕入控除税額の計算をおこなうことができます。
つまり、仕入控除税額を課税売上の消費税に対して一定割合にするというものです。
この一定割合のことを「みなし仕入率」と言います。
みなし仕入率は、売上を卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分して、業種ごとに適用されます。
業種ごとのみなし仕入率は次のとおりです。
区分/第一種事業
区分/第二種事業
区分/第三種事業
業種 |
みなし仕入率 |
農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、水道業など |
70% |
区分/第四種事業
業種 |
みなし仕入率 |
飲食店業、その他の事業 |
60% |
区分/第五種事業
業種 |
みなし仕入率 |
運輸通信業、金融・保険業、サービス業など |
50% |
区分/第六種事業
ただし、簡易課税では、預かった消費税額からのみ税額を計算するため、預かった消費税額を支払った消費税額が上回ったときでも、超えた分が還付されることはありません。
中小企業の事務負担等を軽減する目的で導入されています。
簡易課税を利用するには、次の一定要件を満たす必要があります。
- ・前々事業年度(基準期間)の課税売上高5,000万円以下
- ・「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している
一度、簡易課税が適用されると、原則2年間は簡易課税で計算しなければいけません。
もし、原則課税に切り替えるなら、翌期が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
なお、簡易課税が適用されている場合でも、基準期間の課税売上高が5,000万円超となるときには、その課税期間については、簡易課税は適用できません。
ただし、簡易課税の適用は、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出するまで続きますので、その後の基準期間で課税売上高5,000万円以下になれば、その課税期間については簡易課税が適用されることになります。